夏は立夏から立秋までの3か月間(立夏、小満、芒種、夏至、小暑、大暑の6節気)をいう。
中医学では夏は最も陽気が旺盛な季節とされており、自然界は1年中で最も暑く、雨が最も多い季節となるため夏は日差しが強く、気温が高くて、万物が成長する季節である。
《夏にみられる身体の状態》
夏は、「五行」では「火」の行に配当する。
身体の臓腑との関係では「心」に属する。心が活発に活動すると、炎熱と多湿により高熱・顔面紅潮、身体があつくなり、多汗により津液が不足になり、血流に影響し、動悸・脱力・不眠になりやすくなる。
この季節は私たちの身体も自然界と同様に陽気が一番旺盛な時期になるので、暑さのために体温調節や水分・塩分の代謝、泌尿器系統の活動に普段とは違う変化が現れ、津液を多量に消耗する。
身体の中にも熱がこもり、その熱がいつまでも体内に滞ると、いつも動いている器官「心臓」に負担をかけ、心臓の弱い人や、高血圧症、糖尿病の人にとっては、からだの調子を崩しやすい季節となる。
適度に体内の熱を発散させないでいると、いつまでも胸に熱が残り、肺が乾燥し、秋になって”から咳”の原因となる。
《夏の外因邪気である暑邪》
夏の外因邪気は暑邪(しょじゃ)である。
暑(火)邪は陽邪であり、炎熱で上昇する特徴があって、発散の性質により汗・熱の症状が出やすくなる。熱は身体を蒸らして身体の水分を奪い、熱を持った内臓は働きが悪くなる。
暑邪が侵入すると、ほてり・のどの渇き・むかつきといった熱中症や日射病に似た症状が起こり汗がすっきり出ない、口渇しても水を欲しがらない、食欲不振、悪心、嘔吐、便秘下痢などが現れる。
《夏の養生のポイント》
☆暑さによる「心」の機能失調を防ぐこと。
体内の熱を冷ます作用があるものを主体に、消耗した気を補い、水分代謝を上げる。
☆ 高温多湿から消化器の機能を守ること。
冷たい飲食物のために胃腸が冷え、消化・吸収力も弱まるので、胃腸のケアを!クーラーにも注意!
☆冬病夏治を応用する。
冬の慢性病や陽気不足の病気(慢性気管支炎や喘息・肺気腫・リウマチなど)は、夏が治療効果が高いので、夏の養生によって好転する。