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生姜の奥深い世界~温活パートナーにオススメの食材~

グッと寒くなってきましたね。

寒くなってくると身体を温める食材を食べたくなります。「温活」なんて言葉もよく目にするようになる季節ですね。そんな時に、食材としても調味料としても大活躍するのが「生姜」です。とくに冷え性などがある方は、生姜による温め効果を期待して、積極的に取り入れている方も多いでしょう。

生姜は、一年を通して多くの人が活用する野菜のひとつです。身近な存在であり、なんとなく身体を温める効果があるらしいと思ってはいるものの、生姜について詳しく知っている人はあまり多くありません。料理に深い香りや風味を添えるだけでなく、長い間、伝統的な医療や薬膳としても活用されてきまた生姜。中医学では「百邪を防衛する」と表現されるほど欠かせない食材です。何気なく使っている食材ですが、薬膳を考えるにあたり、想像以上に奥が深い野菜です。

 

この記事では、生姜の種類や栄養、驚くべき健康効果、おいしさを損なわない保存方法にオススメのレシピなどを紹介します。

  

生姜の種類

生姜は熱帯アジアを原産とするショウガ科の多年草で、肥大した地下茎部分を主に食用とする植物です。古くから香辛料として世界中あらゆるところで使用されてきました。収穫時期や成長する部分、出荷時期によっていくつかの種類に分かれ、それぞれ風味・食感・用途が異なります。

一般的には「根生姜」、「新生姜」、および「葉生姜」が挙げられます。通年で出回っている根生姜は新生姜に対して「ヒネ生姜」とも呼ばれます。新生姜もヒネ生姜も同じ生姜からでき、違いは収穫時期と出荷のタイミングです。種生姜を植えてから1か月ほどで葉が伸び、葉の下に膨らみができたところを収穫したものが「葉生姜」と呼ばれます。

それぞれの種類について簡単に見ていきましょう。

  

●根生姜

通年で市場に出回っており、一般的に「生姜」といえば根生姜を指します。生姜の根っこの部分で地下で水平に伸びた茎(根茎または塊茎)が主な部分です。ヒネ生姜とも呼ばれ、特有の辛みと香りがあり薬味や香辛料として使われます。秋に収穫して一定期間貯蔵されたものが出荷されます。

  

●新生姜

初夏に収穫されるまだ若い根生姜を指して新生姜と呼びます。収穫後は貯蔵せずに出荷されるため、水分が多くみずみずしいのが特徴です。見た目もヒネ生姜と比べると白っぽく、茎の付け根が赤く色づいています。皮が薄く風味が比較的マイルドで繊維も少ないので、生で利用されることが多いですが、日持ちがしないため、甘酢漬けやシロップ漬け、生姜酢などに加工された商品が多く作られています。

  

●葉生姜

新生姜よりも先に、小さいうちに収穫され茎葉がついています。根生姜とは異なり、葉生姜は主に葉や茎を食用として使用します。茎葉との境目近くは赤味を帯び、食用の白い部分とのコントラストがきれいです。甘酢漬けにしたり、そのままみそをつけて食べるのが一般的です。甘酢漬けにしたものは、はじかみ生姜として、焼き魚などのあしらいとして使用されます。

生姜の選び方と保存方法

生姜の選び方と保存方法についてご紹介します。一つ一つのポイントを押さえ、いつでも最高の香りと味を楽しみましょう。

  

●新鮮な生姜の選び方

新鮮な生姜は、見た目や触り心地で見極めることができます。

まずは、表面にシワや傷がなく皮がピンと張っていて、しっかりとしているハリのあるものを選ぶようにしましょう。皮がシワシワで弛んでいる場合は、新鮮さが失われています。
切り口が乾燥して干からびているものは、古くなったり傷んだりしている可能性が高いので、避けた方が無難です。次に重さです。手に取り、その重さを感じてみましょう。良質な生姜は重さがあり、みずみずしく感じます。水分をたっぷり含む新鮮な生姜は、その重さで見分けることができます。香りもまた重要なポイントで、強い芳香が感じられれば新鮮な証拠です。新生姜は、茎の付け根が鮮やかな紅色で、みずみずしいものを選んでくださいね。

  

●生姜の保存方法

生姜は適切な保存方法を用いないと、意外にもすぐに傷んでしまいます。

生姜はもともと亜熱帯地方が原産で、寒さに弱い食材です。
冷蔵庫に入れておくと傷みやすいので、室温が15℃程度を保ちやすい季節は、風通しの良い冷暗所で常温保存するのがおすすめです。
乾燥を防ぐために、濡らした新聞紙などで生姜を包んでおきましょう。

次に、冷凍保存です。冷凍は長期保存をしたい場合に向いています。又、使いたいタイミングで必要な分だけ削って使うことが出来るのでとても便利です。生のまま冷凍できるので、用途別に使いやすい大きさにカットしたりすりおろしたりして、小分けにして冷凍しておくのがおすすめです。冷凍庫で1~2か月ほど保存ができます。

   

●保存中の生姜の見た目や変化について

保存中の生姜も、新鮮さを保つためには見た目や変化に注意することが重要です。まず、保存中の生姜が色づいてきたり、黒ずんできたりした場合は、早めに使い切るか、廃棄します。また、保管中に生姜が膨らんできたり、皮が割れたりした場合も注意が必要です。傷んできている可能性が高いので、使う際にはその部分をしっかりと取り除いて使用しましょう。また、保存中の生姜が腐ってしまった場合、その生姜が他の食材に影響を及ぼすことがありますので、早めに廃棄しましょう。

生姜の栄養と薬膳的効能

生姜の主な栄養成分は食物繊維とミネラルです。

根生姜と新生姜の栄養価に、大きな違いはありません。寝かせて凝縮することにより、根生姜の栄養価の方がやや高いと言われています。下記は、根生姜の成分表です。

出典:日本食品標準成分表2020年版(八訂)

  

総じて、生姜は低カロリーでありながら健康への様々なプラスの影響をもたらす食材です。生姜の大きな魅力は栄養素とは別のところにあり、独特な香りや辛味の素となっている成分です。

生姜の香り成分は主にジンゲロールとショウガオールに起因しており、これらの成分が生姜の特有の風味と香りを形成しています。

ジンゲロールには抗酸化作用があり、体内の炎症を軽減する効果が期待されます。これが、体内の酸化を防ぎ、関節炎や筋肉の炎症、消化器系の不調などに対して役立つとされています。

ショウガオールもまた、生姜の香りを形成する成分であり、消化器系に対して穏やかな刺激をもたらします。これが胃酸の分泌を促進し、食事の消化を助ける効果があります。生姜を摂取することで、食後の胃もたれや吐き気の軽減が期待できます。

さらに、生姜の香りは神経系にも影響を与えます。香りを嗅ぐことで脳が活性化され、気分をリフレッシュさせたりストレスを軽減させたりする効果があります。これが、生姜の香りがリラックスやストレス緩和に寄与する一因です。

   

薬膳の視点から見た生姜は、体を温める”温性“という性質を持ち、辛味で身体を温め血行を良くし、気の巡りを良くするとされます。

生薬としても用いられており、生のものを生姜(しょうきょう)、蒸して乾燥させたものを乾姜や干姜(かんきょう)と呼びます。日本でもポピュラーな漢方薬の「葛根湯」にも使われています。

  

生姜は生の状態と乾燥した状態、両方で利用されますが、薬膳においてそれぞれ異なる特性と効果があるとされています。

生の生姜にはジンゲロールと呼ばれる辛味成分が豊富に含まれています。前述した通り、ジンゲロールは抗酸化作用があり、体内の酸化ストレスから守ってくれます。消化器官に働きかけ、胃腸の機能を刺激し、食欲を促進します。また、生の生姜には生きた酵素が豊富に含まれており、これが消化をサポートする重要な要素です。発汗作用により、体の表面の邪気を吹き飛ばす作用があると考えられているので、風邪の引き始めなどに使うのが有効です。

一方、乾燥させた生姜は、辛味成分のジンゲロールのほかにジンゲロンと呼ばれる成分が増加します。これにより、抗炎症効果が一層強まり、関節炎や筋肉痛、風邪の症状の緩和に寄与します。身体を内側から温める作用が強いといわれているので、冷えを改善するという目的であれば、乾姜を使うのがおすすめです。

  

両者とも、薬膳においては体温調整、消化促進、免疫強化、抗炎症などの効果を持ちます。

免疫システムの強化にも寄与する生姜は、風邪やインフルエンザの予防に効果的です。抗菌作用があり、体内の病原菌と戦い、免疫力を向上させることが期待されます。

血行促進作用も生姜を薬膳として活用するにあたり大きなポイントです。血液の循環を改善し、冷え性や血行不良に悩む人々にとっては頼りになる存在です。体温の調整と血行改善が組み合わさり、手足の冷えや頭痛、筋肉のこわばりなどに効果があります。

   

ただし、個々の体質や状態によって異なるため、過剰な摂取は避ける必要があります。 特に妊娠中や特定の健康状態がある場合は、注意しましょう。使用する際は、料理の目的や個々の体調に合わせて使い分けるといいでしょう。

新鮮な風味を楽しみたいならば生の生姜、より強力な抗炎症作用を求めるならば乾燥させた生姜を取り入れてみましょう。

生姜の効能を活かした活用法

生姜が身体を温めてくれると前述しました。体温をいつも下げないようにする事が、免疫力強化に繋がります。
身体が冷えるこの季節、身体を温めて代謝や血の巡りも良くする薬膳の食養生にぴったりです。

生の生姜は、その風味が料理に活気を与えを活かすため、ガリのように酢につけたり、ジュースなどにして利用するのがいいでしょう。乾燥生姜は生のものよりも保存が容易で、長期間利用できるため、便利ですよね。生の生姜と比較して辛味がやや和らぎ、食材として取り入れやすくなります。乾燥生姜は加熱調理に適しており、スパイスとしても多くの料理で利用されます。

そんな生姜を活用した食事法を具体的に紹介していきましょう。

  

●冷え対策に活用

手軽な冷え性対策としては、生姜紅茶がおすすめです。

乾燥させた生姜を煮出した後、紅茶を抽出したものと合わせ、お好みでハチミツを加えればあっという間に完成です。

乾燥しょうがは、しょうがをスライスして天日に一日干すだけで、簡単に作ることができるので、お安く手に入ったときに作っておくと、思い立った時にすぐに使えて便利です。

お茶にはもちろん、毎日の味噌汁を作る際に一緒に煮だして取り入れると、わざわざ冷え性対策の献立を考えることなくお手軽薬膳の完成。

 

●ダイエットに活用

生姜を大量に摂取するというよりも、バランスの良い食事とともに食べることがポイントです。

主な方法としては、生姜を擦ったものをそのまま飲む、料理にたっぷりと活用するといったものがあります。しかし注意点として、飲み過ぎや食べ過ぎは逆に体に負担をかける可能性があります。1日5~10gを目安に、摂り過ぎには注意して摂取しましょう。

生姜は熱を加えると体温を上げる成分が増えます。そのため、冷たい飲み物や料理として摂取するよりも、加熱して温かい飲み物や食べ物として摂取することで、さらにダイエット効能を高めることができます。

  

●風邪予防に活用

生姜は、今時期の風邪予防にも効果的です。生姜に含まれるジンゲロールが免疫力を高め、風邪ウイルスの侵入を防いでくれるからです。そのため、生姜を日常的に摂取することで、風邪予防になるのです。

具体的な風邪予防法としては、前述していた生姜紅茶がおすすめです。温かい紅茶に生姜を加えることで、辛味成分が活性化し、風邪予防効果が高まります。また、温かい飲み物で体温を上げ、寒さからくる風邪予防にも効果的とされています。ただ、こちらは乾燥した生姜ではなく、スライスした生の生姜使います。

さらに、うがいに生姜を活用する方法もあります。生姜の辛味成分が喉を刺激し、風邪ウイルスの侵入を防いでくれるのです。

   

●便秘対策に活用

消化促進を助け、便秘解消に繋がるので、便秘対策としても活用できます。朝食に生姜紅茶を取り入れると、生姜の辛味成分が腸を刺激し、お通じを良くすると言われています。

  

生姜と一緒に摂りたい食材

生姜をより効果的に摂るためには、「黒砂糖」「はちみつ」「レモン」などの食材と一緒に摂ることをおすすめします。

黒砂糖には、豊富なミネラルとともに整腸作用があるので、生姜の効果をより引き立てます。

はちみつには抗酸化作用があり、生姜茶に加えることで一層の効果を期待できます。

そして、レモンにはビタミンCが豊富に含まれています。このビタミンCは、生姜のジンゲロールと相まって、免疫力を向上させてくれます。

また、スープや炒め物などの料理に生姜を加えることで、より多角的に生姜の効果を摂取できます。ただし、生姜は加熱しすぎると成分が飛んでしまうので、適度な加熱が必要です。

新生姜の佃煮の作り方

ピリッとした辛さで、ご飯やお酒のお供にぴったりの新生姜の佃煮をご紹介します。

調味料も少なく手順も簡単、保存食にピッタリです。

 

《材料》

新生姜  120g
水    200 cc
砂糖   30g
濃口醤油 30ml

鰹節   好きなだけ
炒りごま 好きなだけ

⁡≪作り方≫
1.新生姜は皮がついたままよく洗い、千切りにする。

  

2.鍋にお湯を沸かし、新生姜を入れ火にかけ3 〜4分茹で、ざるにあげて水洗いをする。

   

3.鍋に水を切った新生姜、調味料の全てを入れ、火にかけ、アクをとりながら煮汁が少なくなるまで煮込む。

 ※煮汁が少なくなると、焦げ付きやすいので注意

    

4.汁気がなくなってきたら、鰹節、白いりごまを入れ混ぜ合わせる。

  

食材情報

生姜  … 性味:辛・温  帰経: 肺・脾・胃

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