冬は立冬から立春までの3か月間(立冬、小雪、大雪、冬至、小寒、大寒までの6節気)をいう。この3か月間を「閉蔵」といい、万物は活動を控える時期となる。
自然界は陰気が盛んになり、陽気は抑えられ、1年中で最も寒さが厳しくなる。
私たちの身体も自然界の影響を受けて休養の時期になるので、活動を控えて営養を蓄え、身体の熱を逃がさないように春に備える。
《冬にみられる身体の状態》
冬は、「五行」では「水」の行に配当する。
寒さが厳しく、冷えによる体調不良が気になる季節となる。身体を 温め、気・血の巡りをよくするものを摂り、身体の新陳代謝や臓腑の働きを促進させるよう心掛ける必要がある。
冬は身体の臓腑との関係では「腎」に属し、腎の機能が活発になる。
腎は、体内の水分代謝のコントロールや、ホルモン、生殖や発育、泌尿器、免疫系などの調整をしていて、冷えを嫌う。
冷えが厳しくなる冬は、腰痛、膝痛、排尿トラブルが起こりやすくなる。又、冬はあまり雨・雪が降らないので、空気が乾燥し、呼吸器系のトラブルが起こりやすい。そのため、口鼻の乾燥、咽喉の痛み、渇き、皮膚の乾燥などの症状が現れる。
《冬の外因邪気である寒邪》
冬の外因邪気は寒邪(かんじゃ)である。
寒邪は陰邪であり、陽気を傷つけやすい。寒く乾燥している冬、寒気によって身体の陽気が阻滞され、新陳代謝が低下して気血津液が滞りやすい。
その為、悪寒、悪風、震え、下痢、冷え症、神経痛、肌荒れ、神経痛、しもやけなどの症状がよく見られる。
冬の寒さで体内活動も衰えて気血の循環が悪くなるため、関節や筋肉のこわばり、気管支炎、高血圧、心臓・脳出血・心筋梗塞など生命を脅かす病気の発病率や死亡率が上昇する時期になる。
《冬の養生のポイント》
☆寒さによる「腎」の機能失調を防ぐ為、着込むだけではなく身体の中からも温める。
温性・熱性で辛味・鹹味を持つものを積極的に摂り入れる。
☆腎を補う働きがある黒い食材を摂り入れる。
☆冬至養生(とうちようじょう)。
滋養強壮の薬膳を心がけ、陰陽バランスを崩さないためにいつもより多く睡眠をとり、
春への備えをしましょう。